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新しい肺炎球菌ワクチン「キャップバックス®(PCV21)」について

当院では、成人の肺炎球菌感染症を予防するために、21価肺炎球菌結合型ワクチン「キャップバックス®(一般名:21価肺炎球菌結合型ワクチン[無毒性変異ジフテリア毒素結合体])」(以下「キャップバックス」)を導入いたしました。
このページでは、既存の肺炎球菌ワクチンとの比較、位置づけ、接種することで得られるメリット、対象・間隔・接種方法・注意すべき合併症(副反応)などを、わかりやすくご説明いたします。

1.他の肺炎球菌ワクチンとの比較・位置づけ

  • まず、これまで国内で成人・高齢者向けに多く用いられてきたワクチンは、ニューモバックスNP®(23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン=PPSV23)です。厚生労働省の説明によれば、成人の侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)を、23種類の血清型で「4割程度」予防する効果があるとされています。 (厚生労働省)
  • キャップバックスは、「結合型ワクチン(conjugate vaccine)」という方式を用い、成人に特化して設計されたワクチンです。
  • 血清型対応範囲として、キャップバックスは日本人成人の市中肺炎原因菌の71.9%、侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)の80.3%に対応というデータが公表されています。
  • また、キャップバックスには、これまでのワクチンに含まれていなかった血清型(例:15A・15C・16F・23A・23B・24F・31・35Bなど)8種類が新たに含まれており、より幅広い型をカバーできるワクチンとして期待されています。
  • 今般、日本呼吸器学会・日本感染症学会・日本ワクチン学会の合同委員会による「65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方(第7版)」(2025年9月30日改訂)でも、PCV21(=キャップバックス)を含む結合型ワクチンの位置づけが明記されています。 (一般社団法人日本呼吸器学会)
  • 既にニューモバックスを接種した方でも、1年以上経過していればキャップバックスの接種を検討できます。

 

まとめると:

  • これまでニューモバックス(PPSV23)は23価の肺炎球菌予防ワクチンで、65歳以上の定期接種として広く行われてきました。
  • キャップバックス(PCV21)は、新規肺炎球菌予防ワクチンとして成人向けに開発され、血清型をより広範囲にカバーし、より長期の免疫も期待される結合型ワクチンです。
  • したがって、当院としては「65歳以上の高齢者・持病のある成人・免疫低下リスクのある成人」に対して、キャップバックスを新たな選択肢としてご案内しております。

2.キャップバックスを接種するメリット

以下、わかりやすくメリットを整理します。

  1. より多くの型を防げる
     肺炎球菌には90種類以上の血清型があると言われており、従来ワクチンでカバーできていたものはその一部でした。 (感染症情報提供サイト)
     キャップバックスは、成人の侵襲性肺炎球菌感染症の原因の約80%に相当する血清型をカバーできる設計となっています。これにより、これまで防ぎにくかった型による感染も含め「幅広く守る」ことが期待できます。
  2. 免疫が長く持続しやすい可能性がある
     結合型ワクチンでは、ワクチン接種が「記憶(免疫のメモリー)を誘導」しやすい設計となっており、従来の多糖体ワクチンと比べて長期間の効果が期待される可能性があります。
  3. 既にニューモバックスを打った方も“追加”できる
     例えば「65歳でニューモバックスを接種した」「少し年が経ってしまった」などという方でも、1年以上あければキャップバックスを追加接種できます。
  4. 重症化予防として重要
     高齢者や慢性疾患をもつ方では、肺炎球菌による肺炎や菌血症(侵襲性肺炎球菌感染症=IPD)になると入院・死亡・後遺症のリスクが高くなります。予防接種を行うことは「重症化を減らす」ための大切な手立てです。

以上のような理由から、当院では「65歳以上」「慢性の心・肺・腎臓・糖尿病などの基礎疾患がある方」「免疫抑制薬を使用中の方」などに対して、キャップバックスを積極的にご案内しております。

4.接種の方法・対象・注意すべき合併症(副反応)

対象・タイミング

  • 対象:成人(特に65歳以上の高齢者・基礎疾患がある方・免疫低下リスクのある方)
  • 接種回数:原則 1回 接種で完了します。
  • 接種前に:発熱・体調不良・急性疾患がある場合は、接種を延期することがあります。
  • 接種部位:筋肉内注射(0.5 mL)です。
  • 他ワクチンや接種歴との関係:過去の肺炎球菌ワクチン接種歴(ニューモバックス等)をご確認ください。1年以上経過していれば、キャップバックス接種をご検討できます。

注意すべき合併症・副反応
接種後に起こり得る反応として以下のようなものがあります:

  • 注射部位の痛み・腫れ・発赤・硬さ・熱感など
  • 発熱・倦怠感・頭痛・筋肉痛・関節痛など全身症状が起こることがあります。 (厚生労働省)
  • 稀ですが、アナフィラキシー様反応・血小板減少・ギラン・バレー症候群・蜂窩織炎様反応など重篤な副反応の報告もあります(ワクチン一般のリスクとして)。 (厚生労働省)
  • 接種後、体調が優れない時・高熱・強いアレルギー症状が出た時には必ず受診してください。

当院では接種前に医師が問診・既往歴・アレルギー歴・他ワクチン接種歴などを確認させていただきます。接種後も15分程度院内で経過観察を行い、万一の副反応に備えます。

5.費用について

キャップバックス®接種 1回=15,000円(税込)です。(任意・自費接種です。)

6.ご予約

キャップバックスのご予約はお電話で承ります(ネット予約不可)。

当院では、ワクチン接種に関するご質問・ご不安な点もお気軽にご相談いただけます。ご予約・お問い合わせをお待ちしております。