健康診断でリウマチ因子、抗核抗体が陽性といわれました

リウマチ因子

リウマチ因子、リウマチ反応はよく健康診断の項目に入っています。私は健康診断でリウマチ因子を測定することは、あまり意味がないのではないかと思っております。なぜなら、健康な方でリウマチ因子が陽性の方は想像以上に多くいらっしゃるため、これが陽性であったとしても関節リウマチである可能性はそれほど高くありません。「検査前確率」という言葉があります。検査の前に症状が無い場合、この検査前確率が低く、検査の精度はずっと低くなるということです。健診においては関節炎の人はほとんどゼロです。
よって検査前確率は低く、いくらリウマチ因子を測定しても本当の関節リウマチの人を発見するためには途方もない数のリウマチ因子を測定し続けるしかありません。人口の0.5-1.0%がリウマチを発症しますが、健常人のリウマチ因子陽性確率は人口の5%以上とも言われています。陽性的中率があまりに低いので、健診で使うには効率が悪すぎます。

やはり、関節痛、関節炎が存在する人にこの「リウマチ因子」検査を行うことに意味がある、と考えられます。健康診断でリウマチ因子が陽性になり、意気消沈する人もいらっしゃいますが、関節リウマチになる確率がすこし高まった程度であり、関節症状が無いのであれば通常、問題にすることはありません。また、リウマチ因子陽性ということだけであれば、定期的な通院は必要ありません。

抗核抗体

全身性エリテマトーデス(SLE)などの膠原病の患者様の多くはこの抗核抗体が陽性となります。抗核抗体は希釈倍率で示される検査になりますので、他の検査と違って、40倍、80倍、160倍、などの数値で示されます。40倍以上は陽性と判定されますが、健康な人でも40倍の陽性者はいらっしゃいます。また年齢とともに抗核抗体の陽性率は上昇します。
健康診断や人間ドックでこの検査が入っていることがありますが、これもリウマチ因子と同様、健康な人の陽性率がとても高いことから、健常な人に行う検査として、あまり有用な検査とは考えにくいです。陽性であることがイコール膠原病となりませんので注意が必要です。特に高齢になってくるとだんだんと陽性率が増してきます。無症状であればほとんど気にする必要はない検査だと思います。