高血圧

高血圧とは

高血圧とは

血管壁は中を流れる血液の圧力を受けていて、心臓が収縮して血液が送り出された際に圧力が最大になり、心臓が拡張して弛緩した際には最低になります。血圧を計測すると2種類の数値が表示されますが、高い方が収縮期血圧、低い方が拡張期血圧です。
高血圧は高い血圧が続いている状態で、血管に大きな負担をかけ続けて動脈硬化を進行させますし、動脈硬化で血管壁が硬くなると血圧が上がりやすくなります。動脈硬化は心筋梗塞や脳卒中を起こす原因になりますし、脳出血リスクが最も高いのは高血圧とされています。

ご自宅で血圧を測りましょう

血圧は食事や運動、緊張などでも大きく変化します。こうしたことから1回高い数値が出ただけで高血圧と診断されることはありません。家庭で計測した血圧は最もリラックスした状態で測れるため、診察では家庭血圧が最も重視されます。診察室血圧は高めに出やすい傾向がありますので、当院では家庭血圧をこまめに測って記録することをおすすめしています。血圧を測ることでリスクをより正確に知って適切な生活習慣の改善や治療につなげましょう。

高血圧の原因

高血圧の原因

遺伝的素因があって、その上で不摂生な生活習慣やストレスなどが重なって発症するケースが9割程度を占めているとされています。それ以外の原因には、内分泌などの疾患や他の疾患の治療に使われる薬剤などがあります。生活習慣によって起こっている場合、軽度であれば生活習慣の改善で血圧を良好にコントロールできる可能性が高くなります。他の疾患によって生じている場合は、その疾患の治療が必要です。
脂質異常症や糖尿病、肥満なども高血圧と同様の不摂生で発症しやすくなるため、こうした生活習慣病を複数発症しているケースも少なくありません。複数を発症して肥満がともなうと動脈硬化の進行が早まり、数値がそれほど悪くないのに突然、心筋梗塞や脳卒中を起こすことがあります。かなり進行しても自覚症状に乏しいため、健康診断で高血圧を指摘されたら、動脈硬化を進行させないためにも早めに受診して適切な治療を受けるようにしてください。

高血圧の治療

カロリー制限による適正体重の維持、減塩、禁煙、節酒、週に3回程度の運動習慣など、生活習慣の改善は不可欠です。継続することが重要ですので、ライフスタイルなどをうかがった上でできるだけ無理なくできるように具体的な方法をアドバイスしています。ただし、状態によっては最初から厳しい制限が必要になる場合もあります。その際にもストレスが少なくなるようご相談しながらご提案しています。食べる順番や食事のタイミングなどを見直すことで高い効果を得やすい場合もありますので、ご相談ください。

生活習慣の改善

塩分制限

塩分制限

1日の塩分摂取量は6g未満が望ましいとされています。日本人は塩分摂取量が過剰なことが多く、1食で6gをはるかに超える塩分をとっているケースも少なくありません。こうしたことから、減塩は降圧効果を得やすい制限です。はじめは物足りなく感じますが、慣れてくると素材の風味や香りを強く感じるようになって満足感を得られるようになります。旨みの濃い出汁やトマト、香り高い薬味・ハーブ・スパイスなどを上手に使うことで塩分が控えめでもおいしく感じられます。また、複数の種類の旨み成分を組み合わせることでおいしさが相乗効果をもたらすため、そうした点にも配慮してメニューを作るよう具体的な調理法もアドバイスしています。
なお、市販の加工食品は塩分含有量が多すぎるため、できるだけ控えることが重要です。

肥満の解消と適正体重の維持

身長によって適正体重は異なります。そこで身長と体重を元に体格指数(BMI)を出すことで、標準・肥満、低体重に分けています。標準体重は膨大なデータによって病気にかかる確率が最も低い状態だとされていて、肥満と低体重はさまざまな疾患の発症リスクが高い状態です。

体格指数(BMI)=体重(kg)÷{身長(m)×身長(m)}

BMIの数値によって下記のように分けられます。

  • 標準体重 BMI22
  • 肥満 BMI25以上
  • 低体重 BMI18.5以下

肥満は高血圧・脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病を発症しやすくなり、肥満があってこうした疾患が複数発症すると動脈硬化の進行が早まります。他にもさまざまな慢性疾患の発症に関わっていますので、肥満を解消しましょう。
なお、極端なダイエットはリバウンドしやすく、栄養の偏りなどによって健康を害することもあります。適正体重はキープすることが重要ですから、無理なく続けられる内容でじっくり体重を減らしていくことをおすすめしています。

節酒

節酒

1日の適切なアルコール摂取量は日本酒1合(またはビール500cc)までです。前日飲まなかった場合もこの量が上限です。脂質異常症を合併していて中性脂肪が高い場合や、高尿酸血症がある場合はさらに控える必要があります。

運動

激しい運動は逆効果になることもあるため、軽い有酸素運動を習慣的に続けることが重要です。水泳やジョギングなどがよく適切な軽い運動としてあげられますが、30分以上のやや早足の散歩、極力階段を使うなども有効です。他の疾患の有無やその状態などによって適した運動の内容は変わってきますので、医師と相談してから行ってください。継続しないと効果が現れないため、運動はできれば毎日、最低でも週に3回以上行うようにしてください。

禁煙

禁煙

喫煙は血管を収縮させて血圧を上げやすいため、禁煙してください。喫煙を続けていると他の節制を厳しく行ってもその効果を得にくくなります。また、禁煙は呼吸器疾患など幅広い疾患の予防や進行防止にも有効です。

薬物療法

血管を拡張させる薬、心臓・血管への過剰な刺激を抑制する薬、尿量を増加させて血液量を減らす利尿薬、ホルモンの働きを制御して血液量を調整するレニン・アンギオテンシン系薬など、さまざまな作用を持った薬剤があります。また、同じ作用を持つ薬も異なる特徴を持った薬がたくさんあるため、患者様の状態にきめ細かく合わせた処方が可能です。服用できるタイミングなど、ライフスタイルに合わせた処方も可能ですから、服用する薬に関するご要望がありましたら、なんでもお気軽にお申し出ください。